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小学生の恋愛って、こんなんですか?①

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「恋をしている人を見る」のが大好きな僕が、自分の小学生時代の恋を振り返る、第1回。

僕(ケンタ)が好きになったのは転校生の女の子だった。およそ20年前。小学2年生の4月。その子が教室に入ってきた瞬間「えーーーー」という、幼心に「こんなかわいい女の子反則ですやん…!」という、そんな稲妻が走った一目ぼれだった
そして「反則ですやん…!」と興奮したまま、僕はその子の自己紹介を聞いていた。その子の名前は、ユリナちゃんといった。顔立ちだけでなく、ユリナちゃんという名前も、名字さえもきれいだった。
数日過ごすうちに、ユリナちゃんは字もきれいだし、足は速いし勉強はできるし、性格は優しくて僕と気さくにしゃべってくれるし、冗談には笑ってくれるし、パーフェクト。パーフェクト!とにかく反則級の女の子だということがわかった

僕は好きな子ができると、その気持ちを一人で抱えきれないタチだったので、当時よく遊んでいた男友だちのマッキーと「あのユリナちゃんって子と仲良くしたいよね」としゃべって盛り上がっていた。ちなみにマッキーも勉強ができて運動神経もよく、性格もいいヤツだったので(僕はその性格の良さがかえってイヤだなと思うときもあったけど)、自分の当面の恋敵はマッキーであると思っていた

とまあ、そんなこんなで、惚れやすい性格の僕は、ユリナちゃんと出会って割とすぐに「ラブレターを書こう!」と考えるようになった。5月のことである。

初めて書くラブレター。どうやって書いたらいいのかよくわからなかったけど、さすがにそれを親に聞くのは気恥ずかしくて、当時流行っていたドラマ『キッズウォー』に出てきたラブレターの文章をマネして書いた。

一行目は「恥ずかしいけど、言います。笑わないでください。」とか書いていた気がする(二行目に何が書かれたか、大体見当がつく)。そこは本当に、ドラマの中の文章を丸パクリしたので妙に覚えている。

さて、手紙を書いた。封筒にも入れた(そういえば便箋も封筒もどこで買ったんだろう。やっぱり親にバレてたんだろうか)。あとはユリナちゃんに渡すだけ。

切手貼ってポスト入れるか?いや、親に切手をねだったらバレる(まだ親にバレていないていで進めます)。

学校で渡すか?そんなチャンスあるか?というかさすがにそこまでの勇気はないぞ…。

うん、ユリナちゃんの家のポストに直接届けるしかない

というわけで、僕は大きくへたくそな字で「○○ユリナさま」と書いたラブレターを握りしめ、ユリナちゃんの住んでいるマンションに向かった。当時はクラスの連絡網があり、クラス全員分の電話番号と住所がわかるようになっていたから、本人に尋ねるまでもなく住んでいる場所はわかる。恋をするにはいい時代だった。

そしてここで、決定的なミスをおかす。僕は間違った部屋番号のポストにラブレターを入れてしまった。隣か上か、はたまた全く見当違いの部屋番号か知らないが、とにかく、ユリナちゃんには僕のラブレターが届かなかったのだ。

なぜそれがわかるのかというと、ラブレターを投函して何日経っても一週間経っても、ユリナちゃんから全く音沙汰がなくて、学校でちょっと話をするときもそれに関して返事をするそぶりが全くなくて、ついに僕が親に相談してしまったからだ。

「ぼく、ユリナちゃんにラブレター送ったんだけど、ぜんぜん返事がこないんだ」と。

そして数日後に母から「ユリナちゃん、手紙もらってないって。ユリナちゃんのお母さんも見てないって言ってたよ」と聞かされた。

僕はそのとき「ラブレターが受け取られていなかった」という驚きと「ラブレターの話を聞いても“わたしもケンタくんのことすき”とは言わなかったんだな」という察しによって二重にショックを受けた。それからはなんかもう、急速にユリナちゃんのことを特に好きとは思わなくなって、学年が上がるとクラスも別になって、僕が好きになる相手はユリナちゃんではなくなってしまった。あのラブレター、誰かわからんけど返してくれんかな

ちなみにそれから約20年後、つい昨年のことだったが、Facebookの投稿で、ユリナちゃんとマッキーが結婚したことを知った。僕の人生、脇役すぎません?

この記事を書いた人

黒坂 謙太

まだ結婚も子育てもしていませんが、キッテオッテのメンバーに入ってから、親にちゃんと感謝するようになりました。